学習院大学銭湯愛好会!

学習院大学を拠点とする銭湯を愛する大学生のサークルです。

銭湯レポート(豊川浴泉)

豊川浴泉

基本情報

住所 文京区目白台1-13-1

最寄り駅 都電荒川線早稲田駅 徒歩5分

オーナー 岡嶋

定休日 月 金

電話番号 03-3941-7856

営業時間 16時~23時30分まで

サービス 手ぶらセット有 ドライヤー持ち込みOK(備え付け有料も有)

 

テーマ

学習院最寄り、古風で粋な街に愛される銭湯>

豊川浴泉は、銭湯レポートで今回選択した銭湯の中で最も古風な作りを残した、伝統的な銭湯の姿で、創業が昭和25年の作りを守ってきている。壁やタイルや内装は修復し、清潔感があふれ、浴室内の緑が清々しさをも演出している。

 

創業が昭和25年であるという伝統的な銭湯を裏付けるように、現在は祖父・父・娘の3人で切り盛りしている銭湯であるが、初代は曾祖父にあたるひとで、親子4代続く銭湯である。

元々は、岡嶋家以外の人が営業していたところを初代が購入し、その後直し、現代にまで残るその姿を成したという。2代目曰く、初代は元大工で創業当初の資源が乏しい社会情勢にも関わらず、街の人々のために立派な銭湯を建てることから、がっしりとした格天井や梁がある作りとした。そして、街の評判は目白台の御殿と称され、大変賑わいを見せたという。

また、元大工であることから深川の木工所とのつながりがあり、それを薪にし燃料としていたらしい。現在ではガスボイラーに改修しているが、管理面や近隣への配慮という街への思いやりを大切にする銭湯である。

 

豊川浴泉に関して、話を聞き最大の関心を覚えたことが、銭湯文化の波及の真髄を見いだせたということである。「銭湯業界には親類や親族、北陸出身者が多い」ということが一般的に言われているが、そのキッカケとしての心理を見ることができた。

初代が銭湯を開業した当時は、薪による湯沸かしで管理も人手が必要で、それらの人員を自らの出身地方である北陸から呼び寄せたということだ。そこで浴場経営のいろはを教え、意欲のある人間には自ら銭湯を作る手伝いをしたという。(5店舗作った)

これは東京における銭湯文化の下支えと発展の起点となる銭湯の一つということができるだろう。

 

銭湯の人材を育てるということについて、尋ねたところ、自分や従業員の方とは家族同様であり、自分が従業員の環に加わるのと同時に、従業員も家族の環に加わるということを話されていた。銭湯を皆で守っていくという意識が育まれ、自らが銭湯を継ぐという意識は一種の銭湯文化への思い入れとして紡がれたという。

しかし、現在では、エネルギー革命によって薪から重油、そしてガスに変遷し、それにより人手がそれほど必要ではなくなったという。これによって、銭湯を継ぐという意識が半ば創業家の使命に成り代わり、他者による銭湯文化を守る、もしくは個々の銭湯を守るという意識が育たない結果となってしまったのではないかとも感じた。

 

一方で、銭湯文化への認識として、家庭風呂の普及による業界の打撃は大きくあるという。しかし、銭湯には家庭風呂には無い豊富な湯水と解放感があり、その中でお客様は銭湯を利用するという選択をとってもらえたら嬉しいと言っている。

 

選ばれる銭湯としての豊川浴泉の歩む道は、お客様にどれだけ快適に過ごしてもらえるかということを念頭に置き、日々経営しているという。

私も入って感じていたが、豊川浴泉はどのお客様も疲れをいやし、喜んで帰ってもらうということを命題としているようで、温度は他の伝統的な銭湯に比べ入りやすい温度に調整してあり、長々と浸かる楽しみも多い銭湯である。

快適に過ごしてもらうための必要条件は温度だけでなく、最大なものとしては清潔さである。公衆浴場のどの銭湯もそうだが、清潔感は銭湯の第一印象に直結し、いうなれば、どんなに古くてもきれいであることによって、その古さは磨かれ味のあるものとなるのである。

 

豊川浴泉の快適さの追求としては、湯船に浸かるだけでは終わらず、脱衣場に流れているリラックスを促されるBGMと落ち着きをもたらす静音性が自慢としてある。

お客様が来店されるときには世間の忙しなさがあっても、湯上りにはほっこりとした笑顔と挨拶で帰られるということが何よりの喜びとオーナー一家は語る。

 

現在、豊川浴泉では、文京区浴場組合が主催する銭湯ミュージアムという企画展示を行っており、写真家の橘田龍馬さんによる「銭湯でポートレート」という題で写真家と被写体のコミュニケーションの艶やかな写真や躍動感あふれる写真などが、フロント・脱衣場・浴室に飾られている。一枚一枚をじっくりと眺めることも、日々の生活からは乖離した時間を演出させ、リラクゼーションの世界に飛び込むことができるだろう。

 

壁絵には、銭湯絵師のナカジマさんによる絵が描かれており、女湯には天竜川の渓流が、男湯には富士山が大きく構えている。

私個人としては、天竜川を銭湯絵としてみたことは初めてだったので、銭湯絵=ザ・富士山という王道パターンの認識はあくまで印象操作なのかとも思った。残念なことに、男性は通常では女湯を覗くわけにはいかないので写真でカバーしていただきたい。

 

豊川浴泉には、4日18時より銭湯会で訪れる企画を当会で立てているので、時間がある方は、銭湯にご一緒させていただきたいと思っております。

リラクゼーションの世界へ行きませんか?

 

取材・記事 学習院大学 任意団体 銭湯愛好会 代表 宇佐見和希